FontSize: あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律の要点
目次

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1) 免許【60問】

(1) 免許の意義【2問】

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律で用いられている「免許」とは警察許可という意味であり、社会・公共の秩序を維持するために、ある行為の一般的な禁止を特定の場合に特定人に限り解除し、その行為が適法になされるようにする資格または身分を与える行政機関の行為のことである。

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の業務を適法になすためには、施術者名簿に登録され、あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許、きゅう師免許を受けなければならない。

免許は「一身専属」であるから、これを相続したり人に譲ったりすることはできない。

医師以外の者であん摩マッサージ指圧、はり、きゅうの施術を「業」としようとする者は免許を厚生労働大臣から受けなければならないが、国家がこのように一般の人があん摩マッサージ指圧、はり、きゅうを「業」とすることを禁じ、特に一定の資格条件を有する者に対してのみ許可していることの理由は、これらの施術行為が人体の健康に関し影響を与える行為であり、具体的な事故が発生した場合、その行為者(施術者)の責任を問うことはもちろん、事故を未然に防止しようとすることにある。

法第1条の規定は、医師は免許を受けなくともあん摩マッサージ指圧、はり、きゅうを業とすることができるということであるが、無条件で「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師」の免許を取得できるという意味ではない。

施術者が「業」として行うことのできる施術行為の範囲は、その免許にかかわる範囲内の「業」に限られる。

すなわち、あん摩マッサージ指圧師の「業」の範囲はあん摩マッサージ指圧のみであり、はり師の「業」の範囲は、はりのみである。

なお、「業」とは、反復継続の意志を持って行う行為をいい、報酬の有無や回数の多少にかかわらず、たとえ1回のみでも、反復継続の意志が認められる場合は「業」とみなされる。

(2) 免許資格

医師以外の者であん摩マッサージ指圧、はり、きゅうを業としようとする者は厚生労働大臣の免許を取得しなければならないが、その免許資格を与えられるには、積極的要件・消極的要件を満たしていなければならない。

積極的要件とは免許を取得するために必要不可欠な絶対条件であり、消極的要件は欠格事由とも呼ばれ、業をなす者に存在してはならない不適当な欠陥のことである。

ア 積極的要件【1問】

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の免許を受けるためには、次の2つの要件を備えなければならない。

イ 消極的要件(欠格事由)【12問】

免許資格のうち、積極的要件を満たしている者であっても消極的要件に該当する者には免許が与えられないことがあり、免許取得後において消極的要件に該当するに至った場合には免許を取り消されることがある。

(3) 指定登録機関

免許に関する届け出は厚生労働大臣に対し行うが、実際に提出された書類の整理等、免許に関する事務を行うのは、厚生労働大臣によって指定された「指定登録機関」(財団法人東洋療法研修試験財団)が行うことになる。

(4) 免許事務【9問】

免許に関する事務とは、厚生労働省(実際には厚生労働大臣の指定する指定登録機関)に、あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許、きゅう師免許に関する事項を登録する名簿を作成することを中心とし、それにかかわる事務的作業をいう。

免許の効力は名簿に登録されることによって発生する。

したがって、登録を終了した者(免許を与えられた者)は、免許証を所持していなくとも、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅうを適法に業として行うことができる。

しかし、免許証を所持していても、名簿の登録が消除されている場合に行われた業は法第1条違反となる。

ア 免許の申請【1問】

申請書に以下の書類を添え、厚生労働大臣に提出しなければならない。

イ 名簿の登録事項【2問】

あん摩マッサージ指圧師名簿、はり師名簿、きゅう師名簿に登録される事項は以下のとおりである。

ウ 名簿の訂正【6問】

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師は、本籍地都道府県名・氏名に変更が生じた場合は、30日以内に名簿の訂正を申請しなければならない。

申請の方法は、申請書に戸籍謄本または抄本を添え、厚生労働大臣に提出する。

エ 名簿の消除【2問】

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師が死亡または失踪の宣告を受けた場合は30日以内に申請書を提出しなければならない。

この際の申請者は、戸籍法による死亡または失踪の届出義務者(同居の親戚・その他の同居者・家主、地主または家屋若しくは土地の管理人・同居の親戚以外の親戚)で、申請書にあん摩マッサージ指圧師免許証、はり師免許証、きゅう師免許証を添え、厚生労働大臣に提出する。

オ 免許証の書換え交付【1問】

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師が所持している免許証の記載事項の内容に変更の生じた時は、厚生労働大臣に書換え交付申請をすることができる。

申請の方法は、申請書に変更の理由等必要事項を記入の上、免許証または免許証明書添えて厚生労働大臣に提出しなければならない。

カ 免許証の再交付【6問】

何らかの理由で免許証を破損(破る・汚す)または紛失したときは免許証の再交付を申請することができる。

申請の方法は、破損等で免許証が手元にある場合は、申請書にそれを添え、手数料とともに厚生労働大臣に提出する。

なお免許証の紛失が再交付の申請理由となっている場合で、再交付を受けた後に紛失した免許証が発見された場合は、5日以内に古い免許証を返納しなければならない。

キ 免許証の返納【11問】

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師が欠格事由に該当する等の理由により免許を取り消された場合は、5日以内に免許証または免許証明書を厚生労働大臣に返納しなければならない。

また、「名簿の消除の申請」においても、申請者は免許証または免許証明書を厚生労働大臣に返納しなければならない。

上記以外にも、免許を返納しなければならないケースがある。