近年、 糖質エネルギーが低下傾向にあるのに対し、 脂肪エネルギー比率は上昇傾向にある。
カルシウムは、成人1日当たり600~700mgの摂取量が必要。 カルシウムの適正摂取のためには、牛乳・乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などを摂取するとよい。
食塩の摂取過多は高血圧、脳血管疾患、心疾患のリスクを高める。 日本人の1日当たり平均食塩摂取量は1980年当時から12g前後で推移。 食塩摂取量目標値は、男性は8g未満、女性は7g未満。
脂肪エネルギー比率の上昇に伴い、動脈硬化性の心疾患の発生率、乳癌や大腸癌による死亡率の上昇が認められる。脂肪の適正摂取比率は成人で20~25%とされているが、国民栄養調査の結果を分析すると、適正比率の上限である25%を超えている年代が存在する。
肥満の判定
食品は、医薬品・保健機能食品・一般食品に分類される。
食品の持つ特定の保健の用途を表示して販売される食品で、トクホという表現で知られている。
特定保健用食品として販売するためには、製品ごとに食品の有効性や安全性について審査を受け、国の許可を受ける必要がある。
栄養成分(ビタミン・ミネラル)の補給のために利用される食品。
栄養機能食品として販売するためには、一日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が定められた上・下限値の範囲内にある必要があると同時に、栄養機能表示だけでなく、注意喚起表示等も示す必要がある。
事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品。
販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られたものであるが、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官の個別の許可は不要である。
日本の法律(医薬品医療機器等法及び食品衛生法)では、口に入る物は食品か薬のどちらかであり、健康食品というカテゴリーは存在しない。
効果効能の表示は認められておらず、記述すると医薬品医療機器等法違反となる。
食品衛生法は日本において飲食によって生ずる危害の発生を防止するための法律で、食品と添加物などの基準・表示・検査などの原則が定められている。
平成13年の食品衛生法の改正により、遺伝子組換え食品やアレルギー物質を含む食品についても、表示が義務づけられることになった。
我が国では、従来、生理的に必要な栄養必要量やこれに安全率を加味した栄養所要量が示されていたが、食生活の現状を踏まえ、食事摂取基準の考え方が導入されるようになった。
平成27年度から平成31年度までの5年間使用される「日本人の食事摂取基準」が厚生労働省より発表された。
三大栄養素:ヒトが生きていく上でのエネルギー源
五大栄養素:ビタミンとミネラルを加えたもの
1g当たり4kcalのエネルギーを発生する。
不足すると栄養失調の原因になる。
必須アミノ酸:フェニルアラニン・ロイシン・バリン・イソロイシン・スレオニン(トレオニン)・ヒスチジン・トリプトファン・リジン・メチオニンは体内で十分な量を合成できず、栄養分として摂取しなければならないアミノ酸
1g当たり4kcalのエネルギーを発生する。
不足すると倦怠感・無気力の原因、
過剰摂取は肥満や糖尿病の原因となる。
1g当たり9kcalのエネルギーを発生する。
脂肪の割合が大きいと、脂肪肝・動脈硬化・脂質異常症の原因となる。
カルシウムは体重の1~2%含まれており、生体内に最も多く存在するミネラルである。
その99%は骨や歯など、残りは血液・筋肉・神経などに存在する。
カルシウムは乳製品や小魚に多く含まれるが、日本人は不足がちである。
体内鉄の60~70%は血色素として、他の約15%は肝臓に貯蔵鉄として存在する。
激しい運動や出血で不足すると血色素は薄くなり、貧血症となることがある。
日本では若い女性において不足が指摘されている。
体液の浸透圧や水素イオン濃度の調節、水の代謝などに重要な役割を果たしている。
1日必要量は2~3g(食塩換算)以下であるが、日本人の平均摂取量は約12gと高い。
ナトリウムの過剰摂取は高血圧の原因となる。
第9章「感染症とその対策」参照
省略
食品添加物は、食品衛生法に基づき厚生労働大臣によって定められている。
既存添加物は、合成添加物同様、食品衛生法に基づき定められ、以前から天然添加物とも呼ばれている。
省略
省略
食中毒は「飲食物そのもの及び器具・容器包装を介して 経口的に体内に侵入した食中毒菌や 有毒・有害な化学物質などによって起こる健康障害」である。
寄生虫病・消化器系感染症(赤痢・コレラ)・ 摂取栄養素のバランスが崩れた結果生じる栄養障害などは含まれない。
平成以降、食中毒の患者数は2~3万人台を推移している。 平成29年は、腸管出血性大腸菌で1名、 ボツリヌス菌食中毒で1名、植物性自然毒で1名が死亡する食中毒が発生した。
月別では2月の患者数が最も多く、これに1月・12月が続いている。
原因施設別の事件数では、患者数で飲食店が最も多く、学校がこれに続いている。
細菌性食中毒を感染型・毒素型に区別する。
3%前後の塩分を含む培地でよく繁殖するので、病原性好塩菌ともいわれる。
汚染された海産魚介類を生食することによって起こる。
潜伏時間は10~18時間で、熱に弱く、60℃前後で死滅する。
サルモネラ菌は牛・豚・鶏などの家畜に存在し、一定量以上のサルモネラ菌に汚染された食品を食べると感染する。
近年は鶏卵のサルモネラ汚染率が増加し、卵焼き・オムレツ・手作りケーキ・マヨネーズなどが原因の食中毒が発生している。
潜伏時間は8~48時間である。
病原性大腸菌は6種類存在するが、腸管出血性大腸菌は最もよく知られており、ベロ毒素を産生することにより、溶血性尿毒症症候群や脳症などの重篤な合併症を発症することがある。
特に、生レバーや生肉は最も危険であるとされているが、平成29年は総菜チェーン店で死者が発生した。
潜伏期間は2~7日と長い。
エンテロトキシンという毒素を産生する。
この毒素は加熱しても破壊されないため、熱に強い。
潜伏時間は最も短く、1~6時間程度である。
人の手指を介して感染するため、おにぎりや寿司などの米飯類や、サンドイッチ、和菓子などに多い。
耐熱性の芽胞をつくるが、熱には弱い。
嫌気的に増殖する。
この毒素は神経に作用して筋肉を麻痺させ、呼吸困難を引き起こすもので、致命率は高いが、発生は最も少ない。
しかし、平成29年には死者が1名発生した。
日本では、飯(い)寿司、熟(なれ)寿司などの郷土料理による中毒が北海道・東北地方を中心に報告されている。
潜伏時間は4~36時間で、酸素のあるところでは増殖できないため、真空パック入り食品、ビン詰めや缶詰の食品、発酵保存食品などに多い。
カンピロバクターは、鶏肉の生食や加熱不十分、飲料水、サラダなどが原因とされるが、原因不明のことも多い。
治癒後にギラン・バレー症候群を発症することもまれに存在する。
平成29年の食中毒発生件数は第1位で、患者発生数は第2位であった。
犬や猫、小鳥などの腸管にも存在するので、ペットから感染する事例もある。
潜伏期間は2~7日で、比較的長い。
我が国では、平成28年にウェルシュ菌・セレウス菌(ともに感染型と毒素型の中間型)などによる食中毒も発生しており、ウェルシュ菌は、鶏肉の煮つけやシチューなど、調理された後で長時間放置された料理に多く発生する。
潜伏時間は6~18時間である。
ウイルスが腸管粘膜に感染して炎症を起こす。
ノロウイルスは、カキなどの貝類の摂食による食中毒の原因になるほか、感染したヒトの糞便や吐瀉物、それらが乾燥したものから出る塵埃を介して経口感染する。
現在、ノロウイルス属に対する有効なワクチンは開発されていないが、次亜塩素酸ナトリウムに対する抵抗力は弱いのではないかと考えられている。
ノロウイルスは冬に多く発生し、平成29年の食中毒のデータでは患者発生数は最も多かったが、事件発生数はカンピロバクター・アニサキス症に続いて第3位であった。
潜伏期間は1~2日である。
有毒成分はテトロドトキシンで、致命率が高い。
ふぐ摂食後、30分~5時間の潜伏期を経て起こり、知覚障害・運動障害・血行障害・胃腸障害などがみられ、最後には呼吸麻痺を起こして死亡することもある。
毒きのこの有毒成分にはアマトキシン類・ムスカリン・コブリン・イルジンなどがあり、その症状は様々で、腹痛・嘔吐・下痢・痙攣・昏睡・幻覚などがあり、死に至ることもある。
平成29年は死者が1名発生した。
省略
我が国では、近年、アニサキスによる食中毒が急増しており、平成29年度の事件発生数第2位となっている。
アニサキスは魚介類の内臓に生息し、魚介類が死ぬと同時に筋肉に移動するため、刺身や寿司などは要注意で、症状は激しい腹痛を特徴とする。
化学物質性食中毒とは、食品中に有毒物質が故意又は無知・不注意その他の原因によって混入し急性・慢性中毒症状を発現することをいう。
添加物の人工甘味料としてサイクラミン酸ナトリウム(チクロ)が粉末ジュースの素などに使われていたが、発癌性や催奇形性の疑いが指摘されたため、我が国では、アメリカ合衆国とともに1969年に食品添加物の指定が取り消された。
代表的なものは1955年の砒素粉乳事件や1968年のPCB(ポリ塩化ビフェニール)事件(PCBが米糠油に混入し、これがダイオキシンに変化した)である。
DDT・メタミドホスなどの農薬の残留・汚染により、食中毒を起こすことがある。
牛海綿状脳症(BSE)は、牛の病気の一つで、BSEプリオンと呼ばれる病原体に牛が感染した場合、牛の脳の組織がスポンジ状になる。
省略
ウォーキングやジョギングなどの全身持久性の運動(有酸素運動)の継続は、中性脂肪・遊離脂肪酸・コレステロールなどの濃度を適切に保つ。
また、適度の持久性運動により善玉の高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)が増加する。
HDLコレステロールは、悪玉のコレステロール「低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)や超低比重リポ蛋白コレステロール(VLDL-C)」を血管壁から肝臓に運んで処理するので、血管のアテローム変性や動脈硬化の進展が防止されて血流がよくなる。
無酸素運動の代表的なものにレジスタンストレーニングがある。
レジスタンストレーニングは筋肉に負荷をかけて筋力を高めるトレーニングで、代表的なものにウェートトレーニングがある。
運動はエネルギーの供給過程の違いから有酸素運動(エアロビックエクササイズ)と無酸素運動(アネロビックエクササイズ)に分類される。
ウォーキング・ジョギング・マラソンなどは有酸素運動であり、レジスタンストレーニング・100m走・重量挙げなどは無酸素運動である。
平成35年(2023年)までの身体活動・運動分野の目標を定めた。
日本における歩数の統計では過去10年間で1,000歩程度減少するなど 日本人は運動習慣が不足している。
コホート研究とメタ解析
強度が3メッツ以上の身体活動を 23メッツ・時/週、 具体的には歩行又はそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分以上行う。
強度が3メッツ以上の運動を4メッツ・時/週行う。 具体的には息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分行う。
強度を問わず、 身体活動を10メッツ・時/週行う。 具体的には横になったままや座ったままにならなければどんな動きでもよいので、 身体活動を毎日40分行う。
18?39歳:11.0メッツ 40?59歳:10.0メッツ 60-69歳:9.0メッツ
18?39歳:9.5メッツ 40?59歳:8.5メッツ 60?69歳:7.5メッツ
全年齢層における身体活動(生活活動・運動)の考え方 現在の身体活動量を少しでも増やす。 例えば今より毎日10分ずつ長く歩くようにする。
全年齢層における運動の考え方 運動習慣をもつようにする。 具体的には30分以上の運動を週2日以上行う。
新基準は高齢者のための基準値を設けるなど、 対象者の拡大にも力を入れています。
具体的にはメタボリックシンドローム・高血圧症・脂質異常症・糖尿病といった慢性疾患に罹患している者にも新基準を適応するために必要な様々な情報を掲載し、 単にポピュレーションアプローチのためだけでなく、 特定健診・保健指導のようなハイリスクアプローチにも有用なツールとして身体活動基準を活用することができます。
さらに安全対策として「保健指導の一環としての運動指導の可否を判断する際の留意事項」 「身体活動に安全に取り組むための留意事項」 「保健指導の一環として運動指導を実施する際の留意事項」 も併せて掲載されています。
運動学において身体活動の強さを表示する単位。 metabolic equivalentsの略称で、 記号はMETs。
運動による代謝(カロリー消費)の度合いを表す値でもある。
安静時の身体活動の強度を1メッツとして、 さまざまな運動時にその何倍のカロリーを消費しているかを示す。
たとえば、
メッツ × 運動を行った時間
エクササイズ(記号はEx)で表す。
また、 1エクササイズの身体活動量に相当するエネルギー消費量(キロカロリー)は、 1.05×エクササイズ×体重(キログラム)で求められる。
厚生労働省は「健康づくりのための運動指針2006」 において、 メタボリック症候群など生活習慣病予防のための新たな指標として、 それまでのBMI(体格指数)による肥満度とは別にメッツやエクササイズなどの基準値を示した。
そこでは、 3メッツ以上の運動を1日60分、 1週間に23エクササイズ以上行うという目標運動量が提示され、 これにより内臓脂肪が減少して高血糖や高血圧の改善などが期待できるとしている。
なお、 メッツは心筋梗塞(こうそく)のリハビリテーション治療の際の運動負荷を表す単位などにも用いられる。