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第3章 ライフスタイルと健康

1 食品と栄養

1)食品の意義と食生活

第一次健康日本21として策定された10項目
  1. 食事を楽しみましょう
  2. 1日の食事のリズムから健やかな生活リズムを
  3. 主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを
  4. ごはんなどの穀類をしっかりと

    近年、 糖質エネルギーが低下傾向にあるのに対し、 脂肪エネルギー比率は上昇傾向にある。

  5. 野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて

    カルシウムは、成人1日当たり600~700mgの摂取量が必要。 カルシウムの適正摂取のためには、牛乳・乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などを摂取するとよい。

  6. 食塩や脂肪は控えめに
    1. 食塩

      食塩の摂取過多は高血圧、脳血管疾患、心疾患のリスクを高める。 日本人の1日当たり平均食塩摂取量は1980年当時から12g前後で推移。 食塩摂取量目標値は、男性は8g未満、女性は7g未満。

    2. 脂肪

      脂肪エネルギー比率の上昇に伴い、動脈硬化性の心疾患の発生率、乳癌や大腸癌による死亡率の上昇が認められる。脂肪の適正摂取比率は成人で20~25%とされているが、国民栄養調査の結果を分析すると、適正比率の上限である25%を超えている年代が存在する。

  7. 適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量

    肥満の判定

    1. BMI:体重÷(身長の2乗)
      • やせ 18.5未満
      • 標準 22
      • 肥満 25以上
    2. 乳幼児対象 カウプ指数
    3. 学童対象 ローレル指数
    4. 成人対象 ブローカ指数
  8. 食文化や地域の産物を活かし、ときには新しい料理も
  9. 調理や保存を上手にして無駄な廃棄を少なく
  10. 自分の食生活を見直してみましょう

2)食品の分類と表示

食品は、医薬品・保健機能食品・一般食品に分類される。

(1)保健機能食品

能等の違いにより、特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品に区分されるようになった。根拠法律は健康増進法と食品衛生法である。

ア 特定保健用食品(個別許可型)

食品の持つ特定の保健の用途を表示して販売される食品で、トクホという表現で知られている。

特定保健用食品として販売するためには、製品ごとに食品の有効性や安全性について審査を受け、国の許可を受ける必要がある。

イ 栄養機能食品

栄養成分(ビタミン・ミネラル)の補給のために利用される食品。

栄養機能食品として販売するためには、一日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が定められた上・下限値の範囲内にある必要があると同時に、栄養機能表示だけでなく、注意喚起表示等も示す必要がある。

ウ 機能性表示食品

事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品。

販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られたものであるが、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官の個別の許可は不要である。

(2)健康食品

日本の法律(医薬品医療機器等法及び食品衛生法)では、口に入る物は食品か薬のどちらかであり、健康食品というカテゴリーは存在しない。

効果効能の表示は認められておらず、記述すると医薬品医療機器等法違反となる。

(3)食品の表示

食品衛生法は日本において飲食によって生ずる危害の発生を防止するための法律で、食品と添加物などの基準・表示・検査などの原則が定められている。

平成13年の食品衛生法の改正により、遺伝子組換え食品やアレルギー物質を含む食品についても、表示が義務づけられることになった。

3)食品と疾病

(1)栄養素の欠乏又は過剰

ア 栄養所要量と栄養必要量

我が国では、従来、生理的に必要な栄養必要量やこれに安全率を加味した栄養所要量が示されていたが、食生活の現状を踏まえ、食事摂取基準の考え方が導入されるようになった。

イ 日本人の食事摂取基準

平成27年度から平成31年度までの5年間使用される「日本人の食事摂取基準」が厚生労働省より発表された。

(ア)エネルギーの指標 BMIによる
(イ)栄養素の指標
  1. 推定平均必要量:ある母集団に属する50%の人が必要量を満たすと推定される1日の摂取量
  2. 推奨量:ある母集団のほとんど(97~98%)が1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量
  3. 目安量: 推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合、 特定の集団の人々がある一定の栄養状態を維持するのに十分な量
  4. 耐容上限量: この値を超えて摂取した場合、 過剰摂取による健康障害が発生するリスクがゼロではなくなることを示す値
  5. 目標量: 生活習慣病の発症および重症化の予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき量
ウ 三大栄養素

三大栄養素:ヒトが生きていく上でのエネルギー源

五大栄養素:ビタミンとミネラルを加えたもの

  1. 蛋白質

    1g当たり4kcalのエネルギーを発生する。

    不足すると栄養失調の原因になる。

    必須アミノ酸:フェニルアラニン・ロイシン・バリン・イソロイシン・スレオニン(トレオニン)・ヒスチジン・トリプトファン・リジン・メチオニンは体内で十分な量を合成できず、栄養分として摂取しなければならないアミノ酸

  2. 炭水化物

    1g当たり4kcalのエネルギーを発生する。

    不足すると倦怠感・無気力の原因、

    過剰摂取は肥満や糖尿病の原因となる。

  3. 脂肪

    1g当たり9kcalのエネルギーを発生する。

    脂肪の割合が大きいと、脂肪肝・動脈硬化・脂質異常症の原因となる。

エ ビタミンの性質・機能・欠乏による障害< /h5>
  1. ビタミンA (脂溶性) → 成長阻害・暗順応障害・夜盲
  2. ビタミンB1(水溶性) → 脚気
  3. ビタミンB2(水溶性) → 口角炎・皮膚炎
  4. ビタミンC (水溶性) → 壊血病
  5. ビタミンD (脂溶性) → くる病・骨粗鬆症・骨軟化症
  6. ビタミンE(脂溶性) → 溶血性貧血・流産
オ カルシウム

カルシウムは体重の1~2%含まれており、生体内に最も多く存在するミネラルである。

その99%は骨や歯など、残りは血液・筋肉・神経などに存在する。

カルシウムは乳製品や小魚に多く含まれるが、日本人は不足がちである。

カ 鉄

体内鉄の60~70%は血色素として、他の約15%は肝臓に貯蔵鉄として存在する。

激しい運動や出血で不足すると血色素は薄くなり、貧血症となることがある。

日本では若い女性において不足が指摘されている。

キ ナトリウム

体液の浸透圧や水素イオン濃度の調節、水の代謝などに重要な役割を果たしている。

1日必要量は2~3g(食塩換算)以下であるが、日本人の平均摂取量は約12gと高い。

ナトリウムの過剰摂取は高血圧の原因となる。

(2)経口感染症と経口的寄生虫症

第9章「感染症とその対策」参照

(3)慢性疾患など

省略

4)食品加工と添加物

  1. 指定添加物(いわゆる合成添加物)

    食品添加物は、食品衛生法に基づき厚生労働大臣によって定められている。

  2. 指定添加物以外の食品添加物(天然添加物)

    既存添加物は、合成添加物同様、食品衛生法に基づき定められ、以前から天然添加物とも呼ばれている。

  3. 添加物の分類

    省略

  4. 食品添加物の安全性

    省略

5)食中毒

食中毒は「飲食物そのもの及び器具・容器包装を介して 経口的に体内に侵入した食中毒菌や 有毒・有害な化学物質などによって起こる健康障害」である。

寄生虫病・消化器系感染症(赤痢・コレラ)・ 摂取栄養素のバランスが崩れた結果生じる栄養障害などは含まれない。

平成以降、食中毒の患者数は2~3万人台を推移している。 平成29年は、腸管出血性大腸菌で1名、 ボツリヌス菌食中毒で1名、植物性自然毒で1名が死亡する食中毒が発生した。

月別では2月の患者数が最も多く、これに1月・12月が続いている。

原因施設別の事件数では、患者数で飲食店が最も多く、学校がこれに続いている。

(1)細菌性食中毒

細菌性食中毒を感染型・毒素型に区別する。

ア 腸炎ビブリオ食中毒(感染型)

3%前後の塩分を含む培地でよく繁殖するので、病原性好塩菌ともいわれる。

汚染された海産魚介類を生食することによって起こる。

潜伏時間は10~18時間で、熱に弱く、60℃前後で死滅する。

イ サルモネラ食中毒(感染型)

サルモネラ菌は牛・豚・鶏などの家畜に存在し、一定量以上のサルモネラ菌に汚染された食品を食べると感染する。

近年は鶏卵のサルモネラ汚染率が増加し、卵焼き・オムレツ・手作りケーキ・マヨネーズなどが原因の食中毒が発生している。

潜伏時間は8~48時間である。

ウ 病原大腸菌食中毒(感染型)

病原性大腸菌は6種類存在するが、腸管出血性大腸菌は最もよく知られており、ベロ毒素を産生することにより、溶血性尿毒症症候群や脳症などの重篤な合併症を発症することがある。

特に、生レバーや生肉は最も危険であるとされているが、平成29年は総菜チェーン店で死者が発生した。

潜伏期間は2~7日と長い。

エ ブドウ球菌食中毒(毒素型)

エンテロトキシンという毒素を産生する。

この毒素は加熱しても破壊されないため、熱に強い。

潜伏時間は最も短く、1~6時間程度である。

人の手指を介して感染するため、おにぎりや寿司などの米飯類や、サンドイッチ、和菓子などに多い。

オ ボツリヌス菌食中毒(毒素型)

耐熱性の芽胞をつくるが、熱には弱い。

嫌気的に増殖する。

この毒素は神経に作用して筋肉を麻痺させ、呼吸困難を引き起こすもので、致命率は高いが、発生は最も少ない。

しかし、平成29年には死者が1名発生した。

日本では、飯(い)寿司、熟(なれ)寿司などの郷土料理による中毒が北海道・東北地方を中心に報告されている。

潜伏時間は4~36時間で、酸素のあるところでは増殖できないため、真空パック入り食品、ビン詰めや缶詰の食品、発酵保存食品などに多い。

カ カンピロバクター(感染型)

カンピロバクターは、鶏肉の生食や加熱不十分、飲料水、サラダなどが原因とされるが、原因不明のことも多い。

治癒後にギラン・バレー症候群を発症することもまれに存在する。

平成29年の食中毒発生件数は第1位で、患者発生数は第2位であった。

犬や猫、小鳥などの腸管にも存在するので、ペットから感染する事例もある。

潜伏期間は2~7日で、比較的長い。

キ その他

我が国では、平成28年にウェルシュ菌・セレウス菌(ともに感染型と毒素型の中間型)などによる食中毒も発生しており、ウェルシュ菌は、鶏肉の煮つけやシチューなど、調理された後で長時間放置された料理に多く発生する。

潜伏時間は6~18時間である。

(2)ノロウイルス(非細菌性食中毒)

ウイルスが腸管粘膜に感染して炎症を起こす。

ノロウイルスは、カキなどの貝類の摂食による食中毒の原因になるほか、感染したヒトの糞便や吐瀉物、それらが乾燥したものから出る塵埃を介して経口感染する。

現在、ノロウイルス属に対する有効なワクチンは開発されていないが、次亜塩素酸ナトリウムに対する抵抗力は弱いのではないかと考えられている。

ノロウイルスは冬に多く発生し、平成29年の食中毒のデータでは患者発生数は最も多かったが、事件発生数はカンピロバクター・アニサキス症に続いて第3位であった。

潜伏期間は1~2日である。

(3)自然毒性食中毒

ア ふぐ中毒

有毒成分はテトロドトキシンで、致命率が高い。

ふぐ摂食後、30分~5時間の潜伏期を経て起こり、知覚障害・運動障害・血行障害・胃腸障害などがみられ、最後には呼吸麻痺を起こして死亡することもある。

イ きのこ中毒

毒きのこの有毒成分にはアマトキシン類・ムスカリン・コブリン・イルジンなどがあり、その症状は様々で、腹痛・嘔吐・下痢・痙攣・昏睡・幻覚などがあり、死に至ることもある。

平成29年は死者が1名発生した。

ウ その他の中毒

省略

(4)寄生虫による食中毒

我が国では、近年、アニサキスによる食中毒が急増しており、平成29年度の事件発生数第2位となっている。

アニサキスは魚介類の内臓に生息し、魚介類が死ぬと同時に筋肉に移動するため、刺身や寿司などは要注意で、症状は激しい腹痛を特徴とする。

(5)化学物質性食中毒

化学物質性食中毒とは、食品中に有毒物質が故意又は無知・不注意その他の原因によって混入し急性・慢性中毒症状を発現することをいう。

ア 食品添加物による場合

添加物の人工甘味料としてサイクラミン酸ナトリウム(チクロ)が粉末ジュースの素などに使われていたが、発癌性や催奇形性の疑いが指摘されたため、我が国では、アメリカ合衆国とともに1969年に食品添加物の指定が取り消された。

イ 食品製造過程中の過誤混入による場合

代表的なものは1955年の砒素粉乳事件や1968年のPCB(ポリ塩化ビフェニール)事件(PCBが米糠油に混入し、これがダイオキシンに変化した)である。

ウ 農薬による場合

DDT・メタミドホスなどの農薬の残留・汚染により、食中毒を起こすことがある。

6)BSE

牛海綿状脳症(BSE)は、牛の病気の一つで、BSEプリオンと呼ばれる病原体に牛が感染した場合、牛の脳の組織がスポンジ状になる。

7)遺伝子組換え食品

省略

2 運動と健康

1)運動の意義

(1)有酸素運動

ウォーキングやジョギングなどの全身持久性の運動(有酸素運動)の継続は、中性脂肪・遊離脂肪酸・コレステロールなどの濃度を適切に保つ。

また、適度の持久性運動により善玉の高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)が増加する。

HDLコレステロールは、悪玉のコレステロール「低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)や超低比重リポ蛋白コレステロール(VLDL-C)」を血管壁から肝臓に運んで処理するので、血管のアテローム変性や動脈硬化の進展が防止されて血流がよくなる。

(2)無酸素運動

無酸素運動の代表的なものにレジスタンストレーニングがある。

レジスタンストレーニングは筋肉に負荷をかけて筋力を高めるトレーニングで、代表的なものにウェートトレーニングがある。

2)運動と健康の保持・増進

運動はエネルギーの供給過程の違いから有酸素運動(エアロビックエクササイズ)と無酸素運動(アネロビックエクササイズ)に分類される。

ウォーキング・ジョギング・マラソンなどは有酸素運動であり、レジスタンストレーニング・100m走・重量挙げなどは無酸素運動である。

3)「健康づくりのための身体活動基準2013」

1 概要

平成35年(2023年)までの身体活動・運動分野の目標を定めた。

2 問題点

日本における歩数の統計では過去10年間で1,000歩程度減少するなど 日本人は運動習慣が不足している。

3 対策

  1. 個人の目標 「歩数の増加」 「運動習慣者の割合の増加」
  2. 地域・自治体の目標 「運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体の増加」
  3. 以下を減少させる 「生活習慣病等の罹患」 「生活機能の低下のリスク」

4 研究手法

コホート研究とメタ解析

5 基準値

1) 年齢別
2) 性・年代別の体力:全身持久力の基準