環境は人間に対して多種多様な影響を及ぼしている。
同時に、人間も、自分たちが暮らしやすいように環境を変化させる。
このことを「環境と人間の相互作用」と呼んでいる。
温度・湿度・音・光・熱・放射線など
水・大気・土壌の成分・天然物質・発癌物質・人工化学物質など
動物・植物・昆虫・微生物など
友人・家庭・地域社会・言語・政治経済・宗教・食習慣・医療体制など
人間は、外部環境に取り巻かれているが、同時に、身体の内部環境にも取り巻かれている。
すべての生物は生きていくためにエネルギーを必要とする。
例えば、ヒトはエネルギーを獲得するために食物から必要な栄養素を摂取し、植物は光合成によりブドウ糖を作り、それをエネルギー源として生命活動をしている。
気温の測定はアウグスト乾湿計の乾球や アスマン通風乾湿計の乾球を用いる。 快適温度は18~22℃である?
気湿は湿度・相対湿度とも呼ばれ、単位は%、快適湿度は45~65%とされている。気湿の測定はアウグスト乾湿計やアスマン通風乾湿計を用いる。
空気の流動を1秒間の速度(m/sec)で表す。気流が大きいと体表からの熱放散量が増えるので涼しく感じる。屋外の速い気流の測定は専用の装置を用いるが、室内の弱い気流にはカタ温度計を用いる。
輻射熱とは、太陽熱エネルギー、すなわち赤外線のことである。輻射熱の測定は黒球温度計を用いる。
暑さに対する不快度を表す指数で、トムによって提唱された。気流・輻射熱を除いた気温と湿度の組合せから計算され、我が国では70でほとんどの人が快適と感じる。
気温・気湿・気流・輻射熱によってヒトの感覚温度は異なる。この感覚はホートンとヤグローによって数値化されている。輻射熱のないところでは乾球温度を、輻射熱のあるところでは黒球温度を用いる。
省エネの観点から、暖房は20℃、冷房は28℃に抑えることが政府の対策として広報されているが、これらの数字は一応の目安で科学的根拠はない。ヒトが快適と感じる体感温度は気湿や気流を考慮すると18~22℃の範囲であるが、皮下脂肪の厚さ・衣服・睡眠や作業などの条件によっても大きく異なるため、実際の室内温度範囲は10~26℃程度と考えられる。また、外気温との差は5℃以内が望ましいとされている。
衣服は外気からの刺激を軽減し、皮膚との間の空気層に衣服下気候を形成して、温度や湿度を一定に保つ働きがある。衣服下気候は衣類の含気性・通気性・断熱性・吸湿性・透湿性などに左右される。基本的に、夏季は吸湿性・通気性・透湿性に優れた材質を使い、汗の蒸発を円滑にして放熱を助ける衣類がよい。冬季は身体の活動を妨げず保温性・断熱性に優れた材質で、放熱を抑える衣類が適している。
音波の振動の大小を音圧(dB)と呼び、聴覚では音の大きさとして感じる。また、単位時間の振動の数を周波数(Hz)と呼び、音の高さとして感じる。
騒音の単位はホン、主な発生源は工場・事業場・建設作業・近隣・自動車・航空機・鉄道などである。
縦波としての特徴から、音の伝わり方には減衰・遮蔽・反射・吸収・透過・回り込みの6種類がある。
人間は音圧レベルで0~120dB、周波数で20~20000Hzの範囲の音を聞き取ることができる。
一般に、環境中の音は多くの異なる周波数の音によって構成される。騒音は、その時間的変化により定常音・変動音・間欠音・衝撃音に分類され、騒音計を使用して測定する。
騒音レベルが130dBくらいになると耳に疼痛を感じ、鼓膜損傷の恐れもある。また85dB以上の強い騒音にさらされると一時的に聞こえが悪くなる現象(一時的聴力損失又は一時的閾値移動)が起こり、これが長期間続くと不可逆性の永久的聴力損失(永久的閾値移動)をきたす。これを騒音性難聴という。
振動の主な発生源には工場・建設作業・道路交通・鉄道などがあり、建設作業振動は全体の約6割を占める。
近年、産業機械の大型化や高速化に伴い、それらの機械から発生する低周波音が問題となっている。可聴域以下の低周波音は音としてでなく物体の振動として感じられる。
音は壁を透過したり回り込んだりする性質があるため、特にマンションなどの集合住宅において壁を伝わる音や配管から生じる音が問題となることがある。
単に放射線と呼ぶときは電離放射線を意味する。
放射線源の強さはベクレル、放射線が当たった物質に吸収される量はグレイ、生体影響の大きさを示す実効線量はシーベルトで表現される。シーベルトが放射線の単位である。
放射線(電離放射線)障害は、急性障害・慢性障害・晩発性障害・後世代障害に分類され、細胞の損傷や遺伝情報の乱れが生じる。
原爆被爆生存者にみられる重度精神遅滞は妊娠8~15週齢が最も感受性の高い時期であり、16~25週齢がそれに次ぐ。
目に見える光のことで、適度な光線量であれば問題ない。近年、パソコンの長時間使用による眼精疲労・ドライアイが問題となっている。
可視光線より長い波長で、熱線とも呼ばれIRと略す。白内障・角膜炎・結膜炎(近赤外線)、黄斑変性(遠赤外線)、熱中症の原因となることがある。
可視光線より短い波長で、UVと略す。赤外線が熱的な作用を及ぼすことが多いのに対し、紫外線は化学的な作用が著しい。このことから化学線とも呼ばれる。紫外線の有用な作用として、殺菌消毒・ビタミンDの合成・生体に対しての血行や新陳代謝の促進・皮膚抵抗力の亢進などがある。しかし、強い紫外線は目に対して危険であり、雪眼炎(雪山やスキー場のゲレンデ)・電気性眼炎(電気溶接作業)・白内障・翼状片などになる可能性がある。また、皮膚には日焼け・色素沈着・皮膚癌・老化促進などの作用がある。
レーザーは可視光線領域の電磁波であるとは限らない。紫外線やX線などの短い波長、赤外線のような長い波長のレーザーを発生させる装置もある。医療用メス・金属の切断・金属の溶接・通信などに用いられる。生体への作用は強く、皮膚では紅斑・水疱・炭化など、眼では角膜炎・結膜炎・白内障・網膜の火傷・失明などを引き起こす。
波長が極めて短い電波で、極超短波とも呼ばれる。温熱効果を目的とする医療器具としても用いられているが、生体は水分を含むので、熱傷や白内障を起こすことがある。
窒素78.10%、酸素20.93%、アルゴン0.93%、二酸化炭素0.03%、ヘリウム・ネオンなどの不活性ガスは0.006%である。
大気中では人体に特別な作用は与えない。
吸気中の酸素濃度は21%、呼気中の酸素濃度は14%。大気中の酸素濃度が16%以下になると酸欠症が現れる。
毒性は低いが、地球温暖化の要因とされている。室内空気の汚染と換気の指標として用いられる。
1時間値の1日平均値0.04ppm以下を環境基準とする。大気汚染物質としての硫黄酸化物は、二酸化硫黄・三酸化硫黄・硫酸ミストを指す。硫酸ミストは酸性雨の原因物質として知られている。
1時間値の1日平均値10ppm以下を環境基準とする。有機物が不完全燃焼して生じる。一酸化炭素は無色無臭の気体で、ヒトの感覚器では感知できない。生体内では酸素の200倍~300倍の強い親和性をヘモグロビンに対して示し、血液の酸素運搬を阻害するため、内窒息の原因となる。空気中の濃度が10ppmを超えると精神活動が低下し、5000ppmでは1時間以内に死亡する。
大気中に浮遊する粒子状物質のうち、粒径が10μm以下の粒子をいう。煙・煤煙・粉塵・石綿(アスベスト)・ディーゼルエンジンなどが含まれ、自動車・工場・火山活動による発生が多い。粒径1μm以下は肺胞に到達・沈着しやすく、塵肺・肺癌・アレルギーなどの原因となる。なお、1μm(マイクロメートル)は千分の1mmである。
1時間値の1日平均値0.04~0.06ppmのゾーン内、又はそれ以下であることを環境基準とする。大気汚染物質としての窒素酸化物は一酸化窒素と二酸化窒素である。光化学オキシダントの原因となる。また、硫黄酸化物と同様、硝酸ミストを生じ、酸性雨の原因となる。
1時間値0.06ppm以下を環境基準とする。光化学オキシダントは、窒素酸化物と炭化水素が太陽光線を受けて光化学反応を起こすことによって発生する二次汚染物質で、オゾンやPAN(硝酸ペルオキシアセチル)などの酸化性物質(オキシダント)の総称である。光化学オキシダントは光化学スモッグの原因となる物質であり、夏の日差しが強い日の午後、風の弱い日に発生しやすい。
ベンゼンは、工業用原料として広く使用され、自動車のガソリン中にも含まれている。
発癌性・催奇形性が知られる有機塩素化合物。焼却炉からの発生が問題となっている。
室内空気の汚染を防ぐためには換気が必要である。
換気の良否は二酸化炭素濃度によって判定する。
濃度が0.1%を超えなければ良好としている。
室内空気汚染物質は、ホルムアルデヒドや揮発性有機化合物などのガス状汚染物質と粒子状汚染物質に分けられる。
シックハウス症候群は、居住者の健康を維持するという観点から、問題のある住宅にみられる健康障害の総称である。建材接着剤のホルムアルデヒドや塗料のトルエン・キシレンといった揮発性有機化合物、カビ・ダニなどによって引き起こされる。新築の住宅で起こる、倦怠感・めまい・頭痛・湿疹・喉の痛み・呼吸器疾患などの症状が出現する体調不良の呼称である。
非常に微量の薬物や化学物質(主に揮発性有機化合物)の曝露によって健康被害が引き起こされるとする疾病概念。人体の薬物や化学物質に対する許容量を一定以上超えると引き起こされるとされ、個人差が大きい。
粒子状物質は、眼・鼻・喉の刺激、アレルギーや気管支炎及び気道感染症、肺癌の原因となる。発生源は、煙草・石油ストーブ・暖炉・噴霧式スプレー・殺虫剤・ハウスダストなどである。
成人が生命を維持するのに必要な水の量は1日当たり2500ml、生活用水のうち都市活動用水を除いた家庭用水の使用量は、1人1日当たり約300lである。
ヒトが飲用するために供給される水を上水と呼び、日本における普及率は97.9%に達している。水源は、河川・湖沼・貯水池などの地表水が75%、地下水が25%を占めている。
浄水方法は、普通沈殿・緩速濾過法と、薬品による急速沈殿・急速濾過法がある。日本では最初は緩速濾過法が導入されたが、戦後米国から急速濾過法を導入した。しかし、最終的には塩素処理による消毒が必要である。塩素の一部は有機物と反応し、残りの塩素は次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンを生じ、遊離残留塩素と呼ばれ、強い殺菌力を有する。しかし、この方法では農薬などが除去できないこと、クリプトスポリジウムなどの耐塩素性病原微生物が生じてきたこと、有機物と塩素の反応で発癌性のあるトリハロメタンが生じることなどの問題がある。このため、微生物処理・オゾン処理・活性炭吸着処理などを併用した高度浄水処理が実用化されている。
下水は生活廃水と農業以外の産業排水(汚水と総称する)及び雨水を指す。我が国の下水道普及率は78.3%である。汚水と雨水を同じ下水管で運ぶ方法を合流式、別々の下水管で運ぶ方式を分流式と呼び、都市部は合流式が多く、新設下水道は分流式である。
主に市街地の下水を排除・処理するため原則として市町村が管理する。
複数の公共下水道の下水を受けて排除・処理するための下水道で、都道府県が管理する。
都市部の洪水防止のための雨水排水路として設けられ、処理施設は有しない。
我が国の下水処理方法は好気性菌を用いる活性汚泥法が主流で、最終沈殿地で活性汚泥(バクテリアや原生動物のような好気性微生物の集まり)を下水に混ぜ、空気とともに撹拌し、塩素消毒後、河川や海に放流する。
水中の有機物を酸化分解するために微生物が必要とする酸素の量を示したもので、BODの値が大きいほど、水は汚染されている。
水中の有機物を酸化分解するために必要な過マンガン酸カリウムや重クロム酸カリなどの酸化剤の消費量を酸素の量に換算して示したもので、CODの値が大きいほど水は汚染されている。
水中に溶存する酸素の量のことで、DOの値が低いほど、水は汚染されている。
物質を体外から経口的に取り入れて利用し生活活動を営むことを栄養といい、取り入れる物質を栄養素という。
しかし、栄養素となる物質でも、毒性(生物に対する有害作用)を有するものがある。
例えばビタミンAは栄養素であるが、大量に摂取すると皮膚障害を起こす。
また、食物に含まれる残留化学物質や食品添加物にも注意したい。
農薬は、噴霧したり土壌中から農作物に吸収させることがある。
残留性の高い物質は脂溶性であるためめ、農作物細胞内の脂質に溶けていて、洗っても落とすことはできない。
食品添加物とは、「食品の加工若しくは保有の目的で食品に添加・混和・湿潤その他の方法によって使用する物」(食品衛生法)をいう。
日本では、食品添加物は、厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定した指定添加物、天然添加物として使用実績が認められ品目が確定している既存添加物、及び天然香料や一般飲食物添加物に分類される。
天然香料、一般飲食物添加物を除き、今後新たに開発される添加物は天然や合成の区別なく指定添加物となる。
生体内に蓄積する物質は脂溶性であるものが多い。
水溶性であれば摂取しても尿や汗で体外に排泄されるが、脂溶性物質は体外に出にくいためである。
炭素構造の有機物にリン(P)が結合した化合物である。
炭素構造の有機物に塩素(Cl)が結合した化合物の総称である。
1939年に開発され、強力な殺虫効果が認められた最初の有機合成殺虫剤。
開発者はノーベル医学生理学賞を受賞したが、後に、母乳中に出現することや動物実験で発癌性が確認されたことなどから、先進国で使用禁止となった。
日本では1954年に生産が開始され、熱安定性や電気絶縁性に優れているため、燃えない油として、トランス(変圧器)・ノーカーボン紙・コンデンサーなどに用いられた。
しかし、難分解性で、生体に蓄積すること、胎盤を通過すること、母乳中に出現すること、動物実験で肝臓癌が発生することが指摘され、製造・輸入は原則的に禁止、目的を限って使用を認め、事業者が廃棄処理をすることになった。
1999年にダイオキシン類対策特別措置法が成立した。
ダイオキシンは催奇形性・発癌性を有し、塩素を含む有機化合物(塩化ビニルなど)が250~400℃の比較的低温で燃焼すると発生しやすい。
ダイオキシンの発生防止には、焼却炉の構造と特定の運転条件が必要である。
炭素構造の有機物に金属元素が結合した化合物の総称で、水銀・カドミウム・鉛・スズなどがある。
廃棄物とは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」によって、「ごみ・粗大ごみ・燃え殻・汚泥・ふん尿・廃油・廃酸・廃アルカリ・動物の死体、その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの」と定義されている。
廃棄物処理法は、廃棄物を一般廃棄物と産業廃棄物に区分し、一般廃棄物の処理責任は市町村、産業廃棄物の処理責任は事業者と定めている。
我が国のごみ処理方法で最も多いのは焼却である。
廃棄物・リサイクル対策を総合的に推進するため、平成12年に循環型社会形成推進基本法が制定された。
また、排出量が特に多い廃棄物や処理が困難な廃棄物については、容器包装リサイクル法・家電リサイクル法・建設リサイクル法・食品リサイクル法・自動車リサイクル法が個別に制定されている。
レジオネラ症は、在郷軍人会員の集会参加者に多数の肺炎患者を出した事件によって発見されたことから、在郷軍人病とも俗称される。
この菌は河川・湖沼などの常在菌で、我が国にも存在する。
感染力は低いが、高齢者や免疫不全者には重篤な肺炎症状をもたらし、塩素消毒に対して抵抗性がある。
最近では、循環式浴槽水を用いた24時間風呂での感染事例が報告されている。
家の中で発生する汚れのうち1mm以下の細かいものを「ハウスダスト」と呼ぶ。
ハウスダストには、砂塵・衣服や布団の繊維・垢・ペットの毛・ダニの糞や死骸・花粉などが含まれ、アレルギー・アトピー性皮膚炎・過敏性肺炎の原因となる。
有機物粉塵の吸入によるアレルギー性肺炎である。
我が国では台所・浴室に存在するトリコスポロン(真菌)を抗原とする過敏性肺炎が最も多く、70%近くを占めている。
第9章「感染症とその対策」参照。
クリプトスポリジウムは原虫で、塩素に対して強い耐性があり、上水道が汚染して発生した事例がある。
感染すると腹痛を伴う水様性下痢を起こし、免疫不全者では重篤化することもある。
花粉に対するアレルギー反応による鼻炎・眼症状・頭痛・全身倦怠などの症状で、春季のスギ・ヒノキ、秋季のブタクサ・セイタカアワダチソウなどがある。
我が国でほとんどの屎尿が廃棄物として処理されるようになったのは第2次世界大戦後である。
平成27年度末の水洗化人口は94%(公共下水道人口74%・浄化槽人口20%)・非水洗化人口6%である。
環境基本法における公害の定義は、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気汚染・水質汚濁・土壌汚染・騒音・振動・地盤沈下・悪臭(典型7公害)によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることとされている。
三重県四日市市の石油コンビナートから排出される二酸化硫黄を大量に含んだ有毒ガスで、気管支喘息や気管支炎が多発した。
四日市喘息は4大公害病に含まれる。
尼崎市内の国道・高速道路から排出される自動車排ガスと尼崎市臨海工業地域の工場から排出される大気汚染物質が大気汚染の原因となった。
汚染物質は硫黄酸化物・浮遊粒子状物質とされる。
宮崎県西臼杵郡高千穂町の旧土呂久鉱山で亜砒酸を製造する「亜ヒ焼き」が行われ、重金属の粉塵、亜硫酸ガスの飛散、坑内水の川の汚染でおきた公害である。
東京都杉並区にある私立東京立正高校のグラウンドで運動中の女生徒が、目に対する刺激症状(チカチカ感)や流涙、咽喉部の痛み、咳を訴え、新型公害光化学スモッグによるものであると報道された。
富山県神通川流域で多発した公害病で、4大公害病に含まれる。
骨が脆くなって体の各所で骨折し、患者が痛い痛いと叫ぶのでこの名がついた。
原因物質はカドミウムである。
熊本県水俣湾周辺の住民に発生が報告された唇と手足の感覚障害・運動失調・求心性視野狭窄などを主症状とする疾患で、メチル(有機)水銀を原因とする。
臨床症状は典型的なメチル水銀中毒であるハンター・ラッセル症候群(有機水銀を使用する労働者にみられた有機水銀中毒症)とよく一致し、これが水俣病原因物質究明の決め手となった。
水俣病は4大公害病に含まれる。
新潟県阿賀野川下流域でも同様の症状を示す患者が発生し、第2水俣病又は新潟水俣病と呼ばれている。
新潟水俣病も4大公害病に含まれ、原因物質も水俣病と同じである。
土壌に直接散布・投入される化学肥料や農薬・除草剤などは河川や地下水の汚染を引き起こす。
騒音・振動は発生の有無は明確であるが、悪臭とともに感覚公害と呼ばれるように、被害の有無については認定が困難である。
地表面が広い範囲にわたって徐々に沈んでいく現象である。
地下水の大量揚水・トンネル工事・農地排水などが原因となることが多い。
特定悪臭物質は不快な臭いの原因となり生活環境を損なうおそれのある物質で、悪臭防止法によりアンモニアなど22物質が指定されている。
脂溶性の化学物質は、体内の脂質を含む成分に溶け込み、簡単には排泄されない。化学的に安定した物質は、代謝分解に時間がかかり、環境中濃度より生体中濃度が高くなる。生体内蓄積と呼ばれる。さらに、生体内に蓄積した化学物質は食物連鎖を通じてより高濃度に蓄積する。生物濃縮と呼ばれる。
環境中で分解されにくく、生物に蓄積されやすく、かつ毒性が強いといった性質をもった化学物質の総称である。
きわめて微量で生物のホルモン作用を撹乱する物質である環境省(当時の環境庁)が公表した環境ホルモン戦略計画SPEED98では、「動物の生体内に取り込まれた場合に、本来、その生体内で営まれている正常なホルモン作用に影響を与える外因性の物質」としている。
成層圏にはオゾンの豊富な層があり、宇宙からの紫外線を吸収する性質がある。スプレーの加圧剤、エアコンや冷蔵庫に使用されるフロンは、環境中に放出されるとオゾン層に達し、塩素が放出され、オゾンが次々に分解されていく。フロンガスは極地に集まりやすいので、北極と南極上空のオゾン層が大きく破壊され、これはオゾンホールと呼ばれている。オゾン層が破壊されると、紫外線が地表面に達し、皮膚癌や白内障などの健康影響を引き起こす。ウィーン条約やモントリオール議定書は、こうした地球環境問題の会議である。
19世紀以降、人間のエネルギー消費量は飛躍的に増加し、大気中の二酸化炭素濃度が上昇している。二酸化炭素の増加は、主に人間による化石燃料(石炭・石油・天然ガス)の使用が原因である。熱帯雨林の伐採による二酸化炭素吸収量の減少も関与している。二酸化炭素は、地球から放出されて宇宙に逃げるはずの赤外線を吸収するため対流圏の気温を上昇させる。これを温室効果という。亜酸化窒素・フロン・メタンも温室効果を有する。地球温暖化が進行すると、干ばつや砂漠化が拡大し、極地・山岳の氷の融解や海水膨脹による海面上昇、赤道付近の病害虫の高緯度地域への拡大、海水蒸発速度の上昇による大型台風の発生などが懸念される。1997年の京都議定書は、地球温暖化防止のための温室効果ガス排出制限に関する会議である。
硫黄酸化物や窒素酸化物などの排出により、降雨の酸性化が起こる。魚類や植物に与える影響、鉄筋コンクリートの建物の腐食などが問題視されている。
地球の陸地の25パーセントは砂漠であり、毎年その面積は拡大している。原因は乾燥地や半乾燥地の脆弱な環境で過放牧・過耕作・過剰伐採が実施されていることとされる。
質的・量的に野生生物の宝庫である熱帯雨林が過放牧・過耕作・商業伐採により消失している。
熱帯林などのさまざまな生物圏で、野生動植物の種類と量が減少している。
地球環境の保護を実施する上で先進国や経済発展中の国のエゴと途上国の貧困や飢餓が大きな障壁となっている。