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第7章 母子保健
1 母子保健の意義
わが国では、
- 「母子保健法」
- 「母子及び父子並びに寡婦福祉法(平成26年改正)」
によって母子並びに寡婦の保護・保健指導・健康診査・福祉などの援助が公的に行われている。
2 母体の健康
1)妊産婦死亡の現状
平成29年の妊産婦死亡数は33人。
妊産婦死亡率(出産10万対)の推移をみると、
昭和30年代から大きく低下し、昭和63年に一桁台となった。
その後も、緩やかな低下傾向にあり、平成29年は3.4と前年より0.4下回っている。
2)妊産婦保健
- 産褥期:分娩後、母体が形態的・機能的に妊娠前の状態にほぼ回復するまで(産後6~8週間)
- 妊産婦(産科学):妊娠開始から産後6~8週間までの婦人
- 妊産婦(児童福祉法や母子保健法):妊娠中から出産後1年以内の女子
- 妊娠する以前の妊娠・出産・育児に母体が耐えられるかどうかの健康診断、将来設計も含めた計画的な妊娠・出産(家族計画)
- 妊娠3か月までは睡眠剤・医薬品・風疹・X線検査などで胎児の死亡や発育異常のリスクが高い
- 妊婦は、出産までの間、貧血にならないよう、蛋白質・鉄・カルシウム・ビタミン類を多く摂取し、塩分・アルコール飲料・刺激の強い食物などを控えるべき。
- 流産:胎児が胎外で生存不可能な時期の分娩(妊娠22週未満の分娩)
- 死産:妊娠12週以降の妊娠中絶による死亡胎児の出産。ここでいう妊娠中絶は人工妊娠中絶に限らない。
3 乳幼児の健康
1)乳幼児保健の意義
- 周産期:妊娠22週から出生後1週未満までの時期(出産前後の最も危険な時期)
- 早期新生児:生後1週未満
- 新生児:生後4週未満
- 乳児:生後1年未満
- 幼児:生後1年以後から小学校入学直前まで
- 乳幼児:乳児と幼児を総称
2)乳幼児保健の対策
母子健康手帳は、「母子保健法」に基づき、市町村役場に妊娠していることを届け出て交付を受け、妊娠・出産・育児に関する一貫した記録として役立てるもので、職業や配偶者の有無、飲酒・喫煙に関する項目まである。
なお、乳幼児保健の検診には、乳児・1歳6か月児・3歳児健康診査がある。
4 母体保護と家族計画
過去の法律「国民優生法」、「優生保護法」では、優生(良い遺伝形質を保って子孫の資質を優れたものにする)思想が色濃かった。
現在の法律「母体保護法」においては、優生思想は排除され、合法的に人工妊娠中絶手術ができるのは、妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるものか、暴行若しくは脅迫によって抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したものだけとなった。
5 少子化問題と子育て支援
- 少子化問題
日本の母子保健における今日的課題として、少子化の問題が挙げられる。少子化の主たる原因としては晩婚化と未婚率の上昇によるものが大きい。
- 健やか親子21
「健やか親子21」は21世紀の母子保健の主要な取り組みを推進する国民運動計画である。
また、2000年には「児童(18歳未満対象)虐待の防止等に関する法律」が
施行され、該当児童の存在は児童相談所に通告されることになっている。